笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

追想74「長袖長ズボン」

<2017年8月25日>


この夏にリビングのエアコンが壊れて、数十万かけて26畳用の最新式を買った。

そんときには「ついてねーなー」ぐらいにしか感じていなかったが、これも巡り合わせか。


新しいエアコンは、LDKと妻の眠る和室も含めて1階全部を存分に冷やしてくれる。とにかくもう、寒いくらいに。


というわけで、1日中そこで過ごす僕は長袖長ズボン生活を送っている。8月に長袖長ズボンで過ごすのは、多分人生初かもしれない。


冷気がもったいないので、夜は次男とリビングで寝ている。


夏なのに、お別れですか。


夏なのに、

二人で 毛布に くるまって。


カーラジオから「春なのに」や「スローバラード」は聞こえてこないが、これが妻と過ごせる最後の日々だ。


息子たちは、定期的に妻の顔を確認して、線香をあげて、時には泣いている。


それは、誰もがいつか乗り越えるべき壁だ。




乗り越えろ。


父は見守る。


長袖長ズボンでな。




見守る父も、時には泣いている。


長袖長ズボンでな。

Re.鬼ごっこ

朝になってしまった




朝はいつも嫌いだが


とりわけ今朝は大嫌いだ




全身汗でびっしょりだ


また鬼ごっこの夢を見ていた


今度は僕が逃げる夢


相手は妻じゃなかったような気もするが


目覚めた瞬間から記憶は薄れていく




夜中に何度も目覚めては


浅く眠り 夢を見て また目覚める


そんなのを繰り返して寝た気がしない




何かのサインだろうか


いや 単なる自律神経の不調か




気分も体調も最悪だが


今日もいろいろやっつけねば




さて やりますか

追想73「ごめんな」

<2017年8月24日>


今日は僕の誕生日である。

その前日を命日に選んだ妻。


夢の中で鬼ごっこで僕から逃げて、

Tシャツ3枚をびしょびしょにした妻。


何を僕に伝えたかったのかな。


最後までよく分からなかったけど、

僕は僕のやるべきことをやる。


仕事と、子育てだ。


というか、僕にはそれしかできないのだ。

ホントごめんな。






様々な手配と手続きで1日が終わる。


「配偶者の死」は、僕に落ち込むヒマさえ与えてくれない。というより「やらなくてはいけないこと」の中に、僕自身が気持ちを麻痺させて逃げ込んでいたのかもしれない。




多分、今までずっとだな。


ごめんな。




でも、僕にはこれしかできないんだ。


今の僕には、これが精一杯。


ごめんな。