笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

追想43「Salamander」

<2017年6月16日>


妻は明日別の病院に転院し、ガンマメスの処置を受ける。おそらく最後の治療だ。


転院手続きの日は、職場に迷惑がかからなように土曜日に設定した。どうせ仕事は溜まっているので明日も出勤するのだが、午後には別の県の病院に入院手続きに行かねばならない。


治療の際には誓約書が必要になる。妻はもう字が書けないので、僕が誓約書にサインする必要がある。ということで、月曜日も休まねばな。


家から2時間の病院から、家から40分の緩和ケア病院への転院手続きも同時に進めている。そこの医師との面談が、最速で水曜日。ということで、水曜日も休まねばな。


ああもう面倒くせえな病院っ。


職場に迷惑をかける状況が心苦しい。

着信があり、妻が院内で転倒して負傷、受診したとの報告を受けた。慌てて病院に行く。レントゲンの結果は大丈夫そう。気をつけろ我が妻。大事なくてよかったな。




いろいろ胸が痛い。





胸が痛い時には、やっぱりこれだな。





心を麻痺させればいい。


そうすれば怖いことも希望も痛みもない。


手放してしまうべきなのだ。


時間を無駄にするだけだから。




でも、自分のやるべきことは粛々とやる。


人任せには、絶対しない。


だって、カッコ悪いから。




そうすれば、誰も気にしないさ。


なるようになるだけだから。




心を麻痺させなければ、自分が動けなくなる。



自分も含めて、何人もそういう人たちを見てきたから分かるんだ。



Just make it loud


No one cares


And just let it inside !



妻が細美武士を好きな理由を、

ぼくは最近何となく理解できた。




諸々助けが必要な誰かのために働くことが、

今の僕の役割なのだ。

現在最優先すべきなのは、妻。


でも、その他の人たちも放ってはおけない。

ヘコんでいる時間など、僕にはないのだ。



Just make it loud


No one cares


And just let it inside !













<2018年9月11日>


僕の一番後悔している点はここだ。


仕事しながら

家事しながら

妻のいる病院に往復200キロ


ある日思わず

「めんどくせえ」と呟いてしまった


結果僕はロクデナシ野郎で

だから彼女は逝ってしまった


そんなことを思ってはいけなかったのだ

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