笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

追想45「Stand by me」

<2017年6月12日>


妻の脳内の膠芽腫は、悪魔の腫瘍。恐るべき勢いで妻から何もかもを奪っていく。


いろいろ手続きが忙しく、南の病院で2日ぶりに会った妻は、すっかり歩けなくなっていた。もはや自力で起き上がることも、スリッパを脱ぐことも、履くこともできない。


「がんばれよ。」と声をかける僕をうつろな目で見つめ返し頷いた妻は、現在ガンマメス治療中。心配することしかできない僕は、所在なさげにこうやってスマートフォンをいじっている。




「何で、よりによって我が妻がこのカードを引いてしまったのか」という思いが僕の頭から消えることはない。


そもそも「脳腫瘍」という病気になる確率そのものが10万人に数人。その脳腫瘍の中でも「膠芽腫」はわずか9パーセント。


妻は100万枚のカードの中から、最悪の1枚を引いてしまったのだ。



ぐるぐるぐるぐる、考えても仕方ないことばかり考えている。あと2時間、ぐるぐるぐるぐる。



だから病院はきらいなんだ。

待たされるのも大きらい。

でもその大きらいな病院で、僕は今日も待ち続ける。だって、これが僕に配られたカードだから。





Stand by me

僕のそばにいてくれよ


Nobody knows the way It's gonna be

この先どうなるかなんて誰も分からないから


Stand by me

僕のそばにいてくれよ


Nobody knows the way It's gonna be

この先どうなるかなんて誰も分からないから


Stand by me,nobody knows


Yeah,nobody knows,the way It's gonna be



そうか、君はもう自分では立てないんだったね。


じゃあ、Stand by meじゃなくて

表現的にはStay with me が適切だな。



知るか。



Stand by me

Nobody knows the way It's gonna be !

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