笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

追想51「京都大作戦」

<2017年6月29日>


今日はやたらと家に荷物が届く。




最初に届いたのは、こんなカード。



「京都大作戦」?「万能札」?

なんじゃそれは?

なんか、聞いたことあるようなないような。


裏面を見て思い出した。

妻がずっと行きたがっていたフェスだ。

価格17700円。なぬーっ。


…まあ、必要経費の範囲だな。

残念ながら君は今、

行ける状態じゃあないがな。


余命宣告された時に、

「やりたいことはなんでもやりな」

って、僕は確かに言ったしな。


でもやっぱり思うのは、

「行くつもりだったら教えてくれよ〜」

こちらも心の準備とかさ、

サポート体制とかさ、いろいろ心配じゃん。


とか、思うわけさ。




本を読んでる間にまた「ピンポーン」鳴るので

出てみたらまたしても妻あての配達物。


袋開けてみたら、こんなものが出てきた。




どうやら「京都大作戦」のTシャツらしい。

すげー色彩と絵柄だな。これ着て京都を徘徊するつもりだったんだな。やっぱスゲーな我が妻。


とか、思うわけさ。





再びあんまり面白くない本に目を落とす僕を邪魔する本日3回目の「ピンポーン」が鳴った。


もう、なんだかめんどくせえな。


もう僕を呼び出すのはやめてくんねえかな。





超不機嫌な顔で玄関のドアを開け僕が見たのは

本日僕が一番待ち望んでいた品物だった。




「ギター覚えたい」という次男にあげちゃった僕のピグノースの代わりに、新たに購入した新しいピグノース。中古で価格は17000円。


もう今夜は、読書なんかしねーぞー。

オーっ!




…結局僕らはみんな似た者家族なんだよな。


京都、一緒に行ってあげたかったな。


君の楽しむ顔が、見たかったなぁ。





使われることのない17700円の万能札を見ながら、


中古で17000円のピグノースを鳴らしながら、


僕はそんなことをとりとめとなく、


ずっとぐるぐる考えているのだ。

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