笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

追想54「願い事」

<2017年7月12日>


今日は妻に夕食を食べさせるために、昼間たくさん仕事した。


定時に帰って、妻にごはん食べさせて、その後は子どもたちにごはんを食べさせるのだ。


定時を30分過ぎて、今日やるべきことを全部終えた僕は妻のいる病院に向かった。




高速に乗る直前に次男からの着信が入る。


「塾へ通う電車の回数券がない」とのこと。


「電車賃自分で払って行け」と言うと、


「お金全く持っていない」とのこと。


全く本当におばかちゃんである。

直前にならないと気づかない不注意さ。

あればあるだけ金つかっちゃう無計画さ。

一体誰に似たのやら。


しかし、そのおばかちゃんを愛しているので仕方がない。左に出したウィンカーを右に変えて、回数券を買いに駅に向かう。




自宅に戻り、塾へ向かう直前の次男に6000円分の回数券を渡した直後に電話が鳴る。





妻が激しい発作を起こして倒れたという。


そのまま車を飛ばして病院に向かう。




発作を起こしてから約一時間後に病院に到着した。にも関わらず、妻の痙攣は軽く続いていた。


以前には見られなかった状況だ。癲癇の発作を起こしても30分ほどで意識は回復していたはずなのに。



ドクターと相談して、とりあえず薬と眠剤を点滴注入することで合意。しばらく様子を見守る。


妻のiPhoneからは、細美武士の歌声が響く。




Make a wish


You'll be fine


Nothing 's gonna let you down


Someone's there next you holding you now



落ち着いた妻に「じゃあ帰るね」と告げる。


妻はすかさず手を差し出す。

しばらくの間、手を握る。


家に帰ってやること山積みなので、再び「帰るね」と告げて席を立つ。


妻はすかさず手を差し出す。

しばらくの間、手を握る。



をしばらく繰り返す。



Make a wish


You'll be fine


Nothing 's gonna let you down


Someone's there next you holding you


Along the paths your walk




あなたには今、

手を握ってくれる人が多くてよかったな。


願いごとは好きじゃない僕だが、

今日はひとつ願ってみよう。


明日には、君が元気になっていますように。


そして、まだまだ頼りないおばかちゃんたちが、たくましく育っていきますように。

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