笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

証拠隠滅

(2007年@子どもたちがまだ小さかった頃)


二日酔いの黒犬は、

死体のように横たわっていた。


朝のうちは「遊ぼー」と

尻を叩いたり顔に乗ったり、

挙げ句の果ては僕の全身に

落書きをし始めた子どもたちだが、

僕のあまりのテンションの低さに

愛想を尽かした模様。

階下に降りて、妻と遊びはじめた。


全身落書きだらけの黒犬は、

死体のように横たわっていた。


最近かなりの高確率で

トイレを成功させている

次男ポセイドンは、

フルチン生活を卒業。

お古のパンツを履かせてもらっている。


今年高校1年生になる

従兄弟の名前が入った

分厚いパンツを履いて、

誇らしげに立つポセイドンの姿は、

正直、フルチンよりも笑える。


しかし、今日は

どうも調子が悪かったようである。


階下から響く妻の声。


「ポセイドン、

 お前っ!パンツにうんちしたなっ!」


ああ、失敗したのだね。ポセイドン。

妻の叱責は続く。


「トイレでうんちができない子は、

 パンツなんか履かないっ。

 パンツ洗うのは誰だっ。

 オムツを履いてなさいっ。」


怒髪天を衝く。

惚れ惚れとするくらいの妻の剣幕である。

フルチン生活に逆戻りのポセイドンが、

パパの助けを求めて2階にやってきた。


しかしそこにはパパはおらず、

落書きだらけの死体が

横たわっているだけだった。



*******


午後。

ようやく動けるようになった黒犬は、

とりあえずトイレへ。

用を足し、水を流すレバーを回して、

黒犬愕然。


瞬く間に水位が上がってくる。

ていうか、水洗なのに流れてねえ。


「どーするどーする?

 溢れちゃうんじゃない?」


なぜか内股でパニック状態の黒犬。

その目の前…

ギリギリの所で水は止まった。


軍曹、危なかったでありますっ。

とりあえず最悪の状態は

回避できたようでありますっ。


ようし、黒犬2等兵。

ここは我が軍の秘密兵器、

「吸盤君」の出番だっ。



三階から、例の柄がついた

吸盤みたいなやつを

引っ張り出してきた黒犬は、

何度も何度も

ギュッポンギュッポンを繰り返した。


大抵の排水管の詰まりは

10回くらいのギュッポンで

解消されるのだが、

どうしたことか、

今回は20分近く繰り返しても

全く解消されない。

もう既に300ギュッポンを超えている。


詰まっているやつは、相当な大物。

「このトイレのヌシ」と呼んで

いいかもしれないです。魚神さん。


格闘すること、さらに10分。

ようやく便器の奥に現れた、白い影。

ゴム手袋を装着し、つまみ出すと…


それは、


水を吸って巨大化した、

ポセイドンの紙オムツであった。



ポっくん。

怒られたのに、

また失敗しちゃったんだね。


しかし証拠隠滅を図るにしても、

トイレに紙オムツは

さすがに無理なんだよなぁ。




どうするかなあ、これ

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