笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

トム&ジェリー

(2007年@子どもたちが小さかった頃)


「しんぞうはあたまにあるんだよー。」



後部座席から聞こえる、

次男ポセイドンのかわいい声。


「違うよ。心臓は胸にあるんだよ。」



最近「そーなんだ」で

人体の構造を勉強した長男ロプロスが、

得意げに教えます。



「しんぞうはあたまにあるんだよー。」



頑固なポセイドンは、

自分の意見が否定されたことに

納得せずにもう一度繰り返します。


「違うって、

 心臓があるのは胸だって。

 ねーパパ。」


必要以上にムキになって

それに応えるロプロス。

声がでかいっ。



「しんぞうはあたまにあるんだよー。」



ロプロスのリアクションが

面白かったみたいで、

ポセイドンはもう一度繰り返します。

一方、

自説を全否定されたロプロスは必死。


「じゃあ、ほら頭さわってみなよ。

 ね、どきどきしてないでしょ。

 胸は、ほら、

 どきどきしてるでしょ。」


どうしたら相手に

納得してもらえるのか、

持っている知識&ボキャブラリーを

総動員しながら説明します。

しかし…



「しんぞうはあたまにあるんだよー。」



そんなロプロスの努力を

ポセイドンは完全否定。

けらけらと笑いながら、

同じ言葉を繰り返します。


「もうっ。ポッ君っ。

 頭はどきどきしないのっ。

 いくら言えば分かるのっ。」


声を張り上げるロプロスの目に

涙がキラリ。

なんと、ヤツは泣いています。



「うえーん。僕、

 頭がどきどきするのイヤだよー。」



ヘタレなのか、

感受性が豊かすぎるのか。


頭に心臓があることが

許せないロプロスは、

声をあげて泣き崩れるのでした。



大丈夫だよ。


心臓は、頭には、ない。


「だから泣くな。」



*******


(追記@2018年)


「だから泣くな」


ぼくはこの先、少なくとも11年以上


この台詞を言い続けることになる。






が、それはこの時点でまだ遠い話。

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