笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

追想74「長袖長ズボン」

<2017年8月25日>


この夏にリビングのエアコンが壊れて、数十万かけて26畳用の最新式を買った。

そんときには「ついてねーなー」ぐらいにしか感じていなかったが、これも巡り合わせか。


新しいエアコンは、LDKと妻の眠る和室も含めて1階全部を存分に冷やしてくれる。とにかくもう、寒いくらいに。


というわけで、1日中そこで過ごす僕は長袖長ズボン生活を送っている。8月に長袖長ズボンで過ごすのは、多分人生初かもしれない。


冷気がもったいないので、夜は次男とリビングで寝ている。


夏なのに、お別れですか。


夏なのに、

二人で 毛布に くるまって。


カーラジオから「春なのに」や「スローバラード」は聞こえてこないが、これが妻と過ごせる最後の日々だ。


息子たちは、定期的に妻の顔を確認して、線香をあげて、時には泣いている。


それは、誰もがいつか乗り越えるべき壁だ。




乗り越えろ。


父は見守る。


長袖長ズボンでな。




見守る父も、時には泣いている。


長袖長ズボンでな。

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