笑う黒犬の憂鬱

妻をなくした黒犬が這い回る日常を綴っています

His favorite jacket

日曜日。


インフルエンザで一週間近く接触していなかった息子たちに「久しぶりに外出しよう」と言った。


次男は「行く」と言ったが、長男は「いい」と言った。きっと誰もいないリビングでAmazonプライムビデオ三昧をするつもりだろう。全く。


ショッピングモールに行って、次男に「何でもいくつでも好きな服を買いな」と言った。


もう冬なのに、次男はいつも似たような短パンジャージにブカブカのパーカーで雪駄履きといった姿だ。中2なんだからもっとオシャレすべきだと思うのだ。


なのに選んだ持ってきた服は、全部似たようなブカブカのパーカーと短パンジャージばかり。「もっとカッコいいジーンズとか、ジャケットとか買えばいいのに」と意見しても、「オレ、これが楽だから」と言って聞かない。まあ、仕方がないので全部購入。冬なのに雪駄履きかよ。


僕も久しぶりに上着を買った。

アルファ社のフライトジャケット。

こういうのがカッコいいと思うのだが。

でも次男に「よかったらあげるぜ」と言っても見向きもしない。嬉しそうに、新しいニャンコ柄のパーカーに袖を通している。



姉と母と姪に誘われて、夕方は外食に出た。


次男はもちろん、お気に入りの新しいニャンコ柄を誇らしげに着て出かけた。その次男を背後から見た姪が、大笑いしながら言った。


「ねえ、そのパーカー、フードにネコミミがついてるよっ」



ホントだ。僕も気づかなかった。

ネコミミフードだ、これ。


最初は戸惑った顔の次男だったが、皆に笑われて、まんざらでもない感じで笑顔になった。


家に帰っても、次男はパーカーを脱ごうとはしなかった。


次の日の朝、いつものように次男を起こしに部屋に行った僕は、ベッドの中でネコミミフードをかぶって幸せそうに眠る次男の姿を見た。

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